今シーズン最初の塾説参加である。
ただしこれは、埼玉県の公立高校に限った話で、学校種や地域を広げれば、もっと早いものもあるだろう。
本日の訪問校は春日部東高校である。
3月の1・2年生対象説明会も見学に行っているので今年2回目の訪問となる。
出席人数は正確には分からないが定員40人で募集して途中で打ち切ったから、公立高校説明会としては盛況の部類だろう。
説明会レポートは「埼玉新聞社高校受験ナビ」に近々掲載されるだろうから、そちらに譲ることにする。
◆いつまで続ける人文科
春日部東は人文科の募集が芳しくない。
令和7年度入試では最終的には40人の定員は埋まったが、それは普通科から第2志望で回ってきたからである。
人文科の不人気ぶりを第1回進路希望調査の人数で見てみよう。
カッコ内は倍率。
令和2年度 28人(0.70)
令和3年度 16人(0.40)
令和4年度 19人(0.48)
令和5年度 10人(0.25)
令和6年度 28人(0.70)
令和7年度 12人(0.43)
悲惨な数字と言うべきだろう。
公立高校という性格上、たとえ人数は少なくても望む生徒がいる以上続けるべきだという理屈も成り立つが、それにしても少なすぎる。
最終的には普通科から回って来て帳尻は合うわけだが、一般的に言えば存続が検討されていい状況だ。
◆人文では分からん
学校自体は昭和52年(1977年)創立だからまもなく50周年を迎える。
人文科は平成6年(1994年)に設置された(当初は2クラス)。
同じ年に岩槻高校に国際文化科ができているから、中身のよく分からん学科を新設するのが当時の流行りだったのだろう。
残念ながらネーミングから失敗している。
人文では中学生に通じない。
国際文化の方がまだましだ。
理数科や外国語科は学ぶ内容がかなり分かりやすいが、人文科では、想像力が働かない。
もちろん丁寧に説明すれば、「なるほどね」と理解できるのだが、説明しないと分からないような学科には人は集まらないのだ。
◆どうしても人文にこだわるなら
最後は帳尻が合うにしても当初希望者が10人かそこらなのだから学科を廃し、普通科に吸収してしまうのが最善の策だろう。
しかし、それはまずい、それはできないというなら、もう一度この学科の際立った特徴をアピールしてみるしかない。
カリキュラム上の特徴は、英語・国語・社会の単位数(時間数)が多いことである。
入試でもこれら3科に傾斜配点している。
しかし、私の見たところ、この学科の一番の特徴は、英語や国語・社会の時間が多いことではなく、数学が1年で終了してしまうことだ。
2年次以降は選択すれば学べないことはないが必修からは消える。
数学嫌いにはこれ以上の朗報はあるだろうか。
「英語や国語・社会がたくさんある」のではなく「数学がない」のである。
これが最大の特徴だ。
別の言い方をすれば「私立文系大学への進学」に特化した学科。
もちろん「文系にも数学」という流れがあることも知っているが、まだ一部だ。
徹底した私立文系狙いの学科があってもいいだろう。
世の中では「何かがある」ことがアピールポイント(売り)になることが多いが、「何かがない」こともまたアピールポイント(売り)になることもあるのだ。
最近は学校の先生でも最初から私立希望の人が多いらしい。
その理由の一つが「転勤がない」こと。
「かわいい制服がある」ことが売りなら、「制服がない」ことも売りである。
「温水プールがある」ことが売りなら、「プールがない」ことも売りである。
春日部東高校人文科が「数学がない」ことを売りにしたって何の問題もないのである。
だって実際にそうなんだから。
授業見学もしてきたが、この学校の生徒、姿勢がものすごくよろしい。
運動をやっている生徒が多く体幹がしっかりしているからだろうか。
シャキッとしていて気持ちいい。
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