昨日、生徒のプレゼンの話を書いた。
 みんな上手い。
 いや、より正確には面白いと言うべきか。
 ずっと聞いていられる。

 昨日の生徒だけではない。
 最近の説明会では部活や行事を中心とした学校紹介は生徒を起用するケースが増えてきた。
 司会進行を任せることもある。

 知識や経験は先生がはるかに上回る。
 内容は正確である。
 伝える情報に漏れはない。
 ただ、面白くない。

 その点、生徒の説明は大ざっぱで、ところどころ不正確。
 個人の感想レベルも含まれ、客観性に欠ける。
 などなど、欠点だらけなのであるが、受けはいい。
 時に感動すら覚えてしまう。

 さて、入試イベントにおける説明(プレゼン)として、どちらが優れているのか。
 結論を言えば、優劣云々より、組み合わせの問題だろう。
 総合的な演出の問題と言ってもいい。
 誤解があってはいけない入試情報などは先生、学校生活の説明などは生徒と役割を分ければいい。

 まあ、いくらプレゼンが上手いと言っても、そこは高校生。
 お膳立ては先生の仕事であり、かれらは舞台上でそれぞれの役割を演じる役者なのだ。

 ただし、その上で言うが、入試イベントでは「理性より感性に訴える」ことが重要なのである。
 これはセミナーなどでも繰り返し言っていることだ。
 と言うと偉そうなので言い換えよう。
 ギリシャ・ローマの昔から、ものごとを伝える際には、論理だけではなく人柄や感情も大切だと言われているのだ。

 先生というのは論理には自信がある人種なものだから、学校行事の盛り上がりや、日々の学校生活の楽しさまで論理で説明しようとする。
 が、ここを生徒にやらせると、自然と表情は和むし声も弾む。
 で、当然だが、その方が聞き手に伝わる。

 「あちらの学校の方が世間の評価が高いのは分かっている。でも、自分はこちらを気に入ったんだよな。こっちに行きたいんだよな」
 学校選びにはこういう論理的には説明不能な部分もあるのだ。
 理解させても選んでもらえないが、心を動かせれば来てもらえる。
 私も元々が教員であるせいか、論理で、説明で、人を説得しようとしがちだ。
 人の心を動かそうとしたら、これだけではダメだ。

 明日は公立高校で職員研修会。
 1ミリでも心を動かせられるだろうか。