画像優位性効果という言葉があるのだが、これは心理学用語ということでいいかな。
 人は言葉よりも画像(ビジュアル)の方もよく記憶する。これが画像優位性効果。
 昔から「百聞は一見にしかず」というから、そうなんだろう。

 そこでプレゼンターの皆さんに提案だ。
 読者の皆さんは説明会などでプレゼンを行う立場の方も多いだろうから、一つ提案をしておこうと思う。

 パワポスライドは全部「絵」にしてしまおう。
 文字と数字は使わない。
 絵やイラスト、写真(場合によっては動画)のみで構成する。
 なぜなら、ビジュアルの方がよく記憶されるから。

 いや、そんなこと言ったって、文字や数字でしか伝わらない情報ってものがあるでしょう。
 まあ、そのとおり。
 「本校の校訓は“文武両道”です」。
 この場合、普通に考えれば「文武両道」の4文字をスライドで写すよな。
 しかしここで発想の転換。
 生徒が部活で練習している写真と、勉強している写真を使う。モデルは同じ生徒。
 教科書読みながらスクワットでもいいが、ちょっとふざけ過ぎだ。
 2枚の写真を見せながら「本校の校訓は“文武両道”です」と言葉で解説すると記憶してもらいやすい。
 主役は画像に譲り、文武両道の4文字は、せいぜい写真のキャプション程度の扱いとする。

 いま手元にあるプレゼン用スライドをチェックしてみよう。
 そして、文字と数字を画像で置き換えられないか考えてみる。

 グラフはどうなんだという話にもなろうが、ここでは文字や数字の変形という扱いだ。文字や数字の羅列よりは多少はましという程度で、画像優位性効果は働かないと考えよう。

 もし皆さんのパワポスライドが、半分以上画像に置き換えられたとしたら、これまでとはまったく違ったプレゼンテーションになるだろう。
 たぶん、もっとドラマティックになる。感動的になる。
 そしてその瞬間、皆さんはハードなプレゼンターから、ソフトなストーリーテラーとなる。
 要は共感してもらえばいいわけだ。そして好意を持ってもらい、熱烈なファンになってもらえればいい。
 文字や数字に依存したプレゼンは格調高く理性的ではあるかもしれないが、何のための説明会かということをもう一度問い直してみれば、今までとは違った方法を試してみようという気にもなるだろう。

 私は皆さんほど頻繁にプレゼンを行う立場ではないが、今後そのような機会があれば、画像優位性効果を意識したものにチャレンジしてみようと思う。