1週間前に書いた記事の続編になる。
 12月4日にこんな記事を書いた。
 大学実績は、どのように見せたらいいのか

 そして一昨日、塾の合格実績の見せ方に関する記事を書いた。
 よし、ここまで来たら、もう少し踏み込んでみようというのが本日のお題である。

 わが埼玉県を含む、関東地方の主な公立進学校は、WEBサイト上において、大学合格実績をどのように見せているか。
 調べたのは以下の学校だ。

◆東京都
 日比谷高校
 西高校
 国立高校
 八王子東高校
 戸山高校
 青山高校
 立川高校
 小山台高校
 新宿高校

◆神奈川県
 横浜翠嵐高校
 湘南高校
 柏陽高校
 厚木高校
 川和高校

◆千葉県
 千葉高校
 船橋高校
 東葛飾高校
 佐倉高校

◆埼玉県
 浦和高校
 大宮高校
 浦和第一女子高校
 春日部高校
 川越高校
 市立浦和高校

◆群馬県
 前橋高校
 高崎高校

◆栃木県
 宇都宮高校
 宇都宮女子高校

◆茨城県
 土浦第一高校
 水戸第一高校
 以上、30校。
 
 学校のピックアップの仕方については、いろいろとご意見もあろうが、これだけ調べれば何らかの傾向は見えてくるだろう。
 では始める。

 まず、各校WEBサイトを訪問し、進学状況とか合格実績のページを探す。
 なお、詳細をご覧になりたい方のために、上記学校名は、その学校の当該ページにリンクさせてある。

 主に調べたのは、次の点である。
 1 卒業生数が分かるか
 2 合格者は現役と浪人の別が分かるか
 3 実際の進学者数が分かるか
 4 過去何年分の結果が分かるか
 5 国公立は、国立と公立とで分けてあるか
 6 準大学等は国公立に含めているか
 7 その他(医学部や海外大学について記載があるか)

 ◆調査結果◆
 1 卒業生数が分かるか
 合格実績のページで卒業生数が確認できたのは、千葉・船橋・県立浦和・高崎の4校だけだった。現状では、「あれば親切、あれば便利」、という程度か。

 2 合格者は現役と浪人の別が分かるか
 さすがにこれはどの学校も分けていて、現浪の合計しか示していないのは東葛飾だけだった。
 現浪を区別するのは、スタンダードと言ってよさそうだ。

 3 実際の進学者数が分かるか
 実際の進学者数が分かるのは、船橋・県立浦和・浦和一女・春日部・川越・前橋の6校だった。これも「あれば親切、あれば便利」だが、スタンダードにはなっていないようだ。

 4 過去何年分の結果が分かるか
 平均すると5.9≒6年分となる。が、これは都立西19年、県立浦和15年などが引き上げている結果だろう。この2校を除くと5.1年となる。
 3年から5年分あればいいのではないか。

 5 国公立は国立と公立とで分けてあるか
 国立合計、公立合計のように両者を分けて合計を出しているか、国公立合計とまとめているかを調べたものである。
 【区別派】
 八王子東・青山・立川・新宿・湘南・厚木・川和・千葉・船橋・東葛飾・佐倉・春日部・前橋・高崎・土浦第一・水戸第一(以上16校)
 【合計派】
 日比谷・西・国立・戸山・小山台・横浜翠嵐・柏陽・浦和・大宮・浦和一女・川越・市立浦和・宇都宮女子(以上13校)
 【不明】
 宇都宮(主要大学のみ発表)
 
 今回取り上げた学校は、国公立と言っても実際には国立が多く、わざわざ公立というカテゴリーを設ける必要がないという事情もありそうだ。
 しかし、昨今は名前だけでは国立なのか公立なのか、はたまた私立なのか分かりづらい大学が増えているので、国立と公立は分けて発表し、その上で国公立合計としてあげるのが親切だろう。

 6 準大学等は国公立に含めているか
 防衛大学校、防衛医科大学校など文部科学省所管外の大学をどこに分類しているかという話だ。
 これらは大学であることは間違いないが、入試は入学試験ではなく採用試験として行っている。採用されれば国家公務員となり給料が支給される。つまり就職だ。
 しかし、ここで学べば学士の資格が得られるから、その意味では他の一般大学と同じであり、大学に分類してもおかしくない。
 ということで、国公立大学に含める学校がある一方、それとは区別して「準大学等」といったカテゴリーを設けている学校もある。
 【国公立大学に含む派】
 日比谷・西・戸山・青山・立川・小山台・横浜翠嵐・県立浦和(以上9校)
 【国公立と別枠派】
 八王子東・新宿・湘南・柏陽・厚木・川和・千葉・船橋・東葛飾・佐倉・県立浦和・春日部・前橋・高崎・土浦第一・水戸第一(以上15校)
 【不明】
 国立・大宮・浦和一女・川越・宇都宮・宇都宮女子(以上6校)

 半数が国公立大学とは別枠でカウントしている。国公立大学に含める学校も実際には受験者・合格者はそれほど多くない。だから、わざわざカテゴリーを設けていない可能性もある。不明の学校も、そもそも受験者がいないとか、人数が少ないので国公立大学の中の「その他の大学」に含めているのかもしれない。

 防衛大学等の入試(採用試験)は、国公立の共通試験や私立大学の入試に先立ち、秋に行われる。採用試験なのでタダで受けられる。そのため、模試や腕試しの感覚で受ける生徒も多いと言われている。
 これら準大学と呼ばれる大学校(正式には大学ではなく大学校である)を、国公立合格実績の公表に際し、どう扱うかは難しいところだが、1人や2人ならともかく、ある程度まとまった人数がいる場合は、「その他」というような大ざっぱな表記ではなく、しっかり大学校名を表記してもらったほうがいい。そうじゃないと合格数かさ上げのための作戦ではないかと疑われる。

 7 その他
 医学部医学科を再掲の形で別枠表示しているか、また、海外大学を国内大学と別枠表示しているかを調べたが、大学名まで含めて明確に表示している学校は少なかった。

 私立や他の学校についてもいずれ調べてみようと思うが、WEBサイトを一つひとつ閲覧しリンクを貼る作業は思いのほか時間がかかった。
 もう少しお待ちいただきたい。