よくメールなどで「参考になりました」とか「参考にさせていただきます」って書いてくる人がいる。
 こっちが何かアドバイスをしてやったり、教えてあげたりした場合の感謝のメールだ。
 「ありがとうございました」の一言では何か物足りないというか、申し訳ない気がするんだろう。

 が、「参考」はいけない。
 これが同世代とか近い間柄だったらまだいいが、年下が年上に向かって「参考」はないだろう。
 「参考」というのは、判断材料の一つという程度の意味だ。
 その通りにするつもりはない。
 自分で考え、自分で決める。
 が、せっかく言ってくれたんだから、場合によっては取り入れないでもない。
 これが「参考」だ。

 時間をかけ、親身になって、無い知恵絞って書いてやったのに「参考」とは、ずいぶん軽い扱いじゃないか。
 だったらもう二度とアドバイスなんかしてやるもんか。
 と、そこまでは行かないが、次からはスルーされるつもりで書こうかと思ってしまう。

 たぶん本人、悪気はないし、感謝の気持ちは十分あるんだろうが、「参考」の一言が台無しにしてしまう。

 いいかい。もう一度言うが、「参考」というのは軽い言葉なんだよ。

 では、何と言えばいいのか。
 そうだな、たとえば。
 「大いに役立ちました
 「大変、勉強になりました
 このあたりがすぐに思いつく言い換えだが、紋切り型の域を脱していない気もする。

 あとは、話の内容にもよるが、「重く受け止めました」なんていうのはどうだ。
 これなら「参考」の持つ軽さを回避できそうだ。

 以前、若いクセに「積年の疑問が氷解しました」と難しいことを言ってきたやつがいたが、ちょっと大げさだ。
 「疑問が晴れました」ぐらいにしとけ。

 「勇気が湧いてきました
 「これで自信を持って進められます
 「視界が開けてきました
 うん。そこまで言ってくれると意見した甲斐があるというものだ。
 もっと簡単なのでは、「ハッとさせられました」なんていうのも使いやすい。

 まあ、ビジネスメールや普段の仕事上の会話で、いちいち言葉を選ぶのも面倒だが、安易に「参考」を使うのはやめておこう。
 以上、参考までに。